皆さん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
どうも竹原です。
遅くなってしまいましたが、 RED KING CRAB「ガタタン」無事終演しました。 ご来場下さった皆様、公演に携わって下さった皆様、どうもありがとうございました。 今回の企画はシアターZOOさんの企画の中の一つ、若手劇作家を育てるというコンセプトでスタートしました。 シアターZOOさんは、旗上げ公演「タイマン」、そして「我夢捨螺」の公演時に大変お世話になった劇場です。 どれだけ出来たのか。お世話になったことが多すぎて反省する点が沢山あります。 作品の経緯について少し話します。 タイトル「ガタタン」は炭鉱町芦別の家庭料理の事です。中国語で読み方は含湯多(ガータータン)。中国盤味噌汁の事です。このトロミがかったこのスープには海の幸、山の幸など、様々な具がたくさん入っています。その「あたたかい」という言葉の意味と家庭と炭鉱に魅せられてタイトルとしました。 炭鉱の町というコンセプトは、ずっと温めていた題材の一つでした。 何年か前、RED KING CRABが出来るもっと前、に岩見沢にある炭鉱の記憶推進事業団 岩見沢マネジメントセンターに訪れたのが、そもそものきっかけだったように思います。 きっかけと言っても、JRで本来降りる駅を乗り過ごしてしまい、終着の岩見沢まで来てしまった訳だったのですが。 待ち時間もあるし、ちょっと辺りを散策してみようという呑気なもんで、その中で偶々目に入り訪れたのが、岩見沢マネジメントセンターでした。 そこで係の方々が炭鉱の町のあれこれをとても丁寧に教えて下さいました。 無知な自分は、 その方々のおかげで炭鉱が何たるかを知った訳です。 そこから数年が経ちます。 とある芝居の稽古帰りに、途中炭鉱町である芦別、赤平周辺を通過していた時に、夜の星に照らされて見える町並みや立鉱櫓がとても不思議で、綺麗で。 ちょっと寄り道して芦別の町に寄って行きました。 訪れたのは「あすなろ」というスナック。以前そう言った名前の作品を創った事があり、妙に親近感が沸いて入った店内。 そこにいたママや常連の皆さんと お芝居の話やこの町のお話等、いろんな話をしました。「頑張ってね」と美味しいご飯もご馳走して下さいました。 演目を決めるに当たり、以上のような記憶がフラッシュバツクした訳です。 ただ舞台を炭鉱の町に定めたはいいけど、何も知らないじゃないかと気付き、前作「カラッポ」に出演して下さった最上さんと石橋との芦別ドライブ。 その中で「芦別百年記念ホール」の長谷山さんとの出会いが、作品の方向性を決めました。 合理化による再就職、閉山など様々な理由で故郷を離れる事になった方々が、再び出逢えるように、当時の町の様子を思い出せるようにと活動をされているとの事でした。 長谷山さんのご紹介で、札幌にいらっしゃった元鉱夫の方とお話をさせて頂く機会を頂きました。 本当に不思議なんですが、どこの馬の骨だかわからない僕に、当時の事、仕事の事、炭鉱ナビという会の事を目をキラキラさせてかたって下り、 なんと、ご自身が持っていた写真や会報誌を譲って下さいました。 そこで笑いながら写っていた皆さんの顔が、とても印象に残っています。 そして、その方がまた別の方をご紹介下さりと、数々の驚くような出逢いの連鎖の中で作品は創られて行きました。 その中には、公演前に亡くなってしまった方もいました。 その方が客席で観て下さっていても、恥ずかしくない作品を創らねばと、より一層褌の紐を締め直した次第でした。 かつてそこに確かにあったもの。その事を知らず、その土地の閑散とした様子や歴史を見て、廃れているだの、暗い、寂しい、何も無いだの、思い思いの感想を廻らす。 誠に勝手ながら、僕もそう思っていました。そのメッキのようなものを沢山の方々のおかげでバリバリと剥がして頂く事に必死になっていました。知れば知るほど鳥肌が立ちました。 その過程の中で、炭鉱の町の「明るさ」とは何だろう、そして「許」という字、「家族」、という作品の断片が決まって行ったンです。 「明るい炭鉱」という吉岡さんの著書を見て、「一山一家」という言葉を知り、「その方々は、宛先のない手紙をずっと待っているもんだね」というお言葉を頂きました。 ご紹介した以外にも、多くの方々のおかげで台本は創られて行きました。 そして役者の皆さん。 役者の皆さんとは稽古開始前から、何度か集まって頂き、本読み(台本を役を振って読み返す作業)を行って行きました。 時間をかけてじっくりと作品と向き合うことがあってもいいのではないか?という思いからでした。 ただそこで、なんと、 台本を0から書き直す事に。 スタッフ、役者の皆さんに本当に申し訳ないことをしました。 正直ズタズタでした。 自分の無能さに悔しい思いもしたし、想像力のなさに愕然とし、もっと面白くしなくてはという気持ちにぐるぐるなりながら、 突破口が見えずに悩んでいました。 そして再び何度も現地を周ります。 雑草が伸び放題の手付かずの土地に居座り、何日も考えていました。 その中で、新たな作品の断片が 創られて行きました。 沢山の方々に刺激を受けながら、ご助力を頂きながら「ガタタン」は創られて行ったんです。 そして、公演の事を待って下さっていた皆さんのお言葉や気持ちに何度も励まされ、背中を押して頂きました。 無茶な変更の中、文句も言わずに待って下さり、拙い説明の中、役者の皆さん。 ギリギリまで何度も無茶な相談に乗って下さり、沢山変更やご迷惑をおかけしたにも関わらず、応えて下さった頼もしいスタッフの皆さん。 本当に本当にどうもありがとうございます。 毎度毎度の事ですが、僕は沢山の方々のおかげで作品を創らせて頂いていると思っています。 作品創りを通して関わった多くの皆さんから僕は、宝物を沢山頂いたように思います。 2017年のRED KING CRABはこれで終わりです。 これからも現状維持ではなくもっと前へを合言葉に、この作品を通して得たことを大切に、更にもっと面白いと思って頂ける作品を目指して進んで行きます。 次回公演は、年を明けて2018年の秋から冬にかけての公演を予定しています。 またお会い出来る日を楽しみにしています。 ここまで作品の事を振り返っても、結構な長さになってしまいました。 最後まで見て下さり、どうもありがとうございました。